le 20 mars
毎年「芥川賞」受賞の作品は、何より楽しみに読むことにしている。一応一気に読みたいので、ある程度の時間と期待に添う心構えは必要である。明日は「春分の日」で勤務はお休み。この時を逃したらもう当分時間はないと覚悟の上、ページを開いた。作者はナントまだ30歳のお嬢さん。多分自分の友人をモデルにしているのではないか。3人の同じ30歳ぐらいの女性の生活が事細かに心理を交えて次つぎと書いてあり読者を飽きさせることはない。
中心のA子は、まだ未婚で、離婚した母親と2人で古い日本家屋に住みその日暮らしの様なアルバイトもどきの単純な仕事をしていて年収全部をつぎ込んで世界一周クルージングに参加しようかとふと心のどこかで思っている。
その友人B子は幼稚園に通う娘を連れて離婚、仕事が見つかるまでA子の家に転がり込んでA子の古着を来て仕事探し。
C子は、前の仕事は辞めて独力で小さいCafeを経営し、そこにA子は週に3日夜だけバイトに行っている。
どちらを見てもお金には縁がない生活。そして30歳の若さで男性のお話しが全く出て来ない。好いたの、惚れたの、愛だの何のは皆無。こういう小説なのに読者を少しも飽きさせずに最後まで一気に読み通させる文章はやっぱり賞を受けるに価するのか。
ルイビトンのバッグを肩にブーツ姿で街を闊歩する若い女性達との対比が不思議なアンバランス感を与える。しかし男性にウツツを抜かす程の時間もお金もない大卒の30歳女性もいるんだな、人生実にいろいろ。そんな女性がポスターの163万円の世界1周クルージング見出しにウツツを抜かしている。そういえば我が社の入っているビルでもよくその様なクルージングの説明会を開催しているが、参加者は殆どが中高年の女性達なのをふと思い出した。
映画を観るより入賞の小説を読む方が余程面白いと思うのは、同じく時間に追われている私だけかな。最近の入賞小説は、文学性が高いと言うよりむしろ身辺の小さな事
に伴う心理の揺れ動きを書いているものが多くなってきている傾向を今回も充分感じ
た。
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